新原歯科医院

院長ブログ

根管治療の後に歯が痛む話

虫歯が進行して歯髄が侵されて痛みが出た場合は、根管治療という治療をすることになります。歯髄が壊死していたり、古い根管治療のあとに根尖性歯周炎をおこしたあとも、やはり根管治療になります。

0167070001_s0167070002_s

 

歯の根の中に根管と言う管があり、根尖から歯冠の歯髄までをつないでいて、その中にも歯髄組織があります。それが侵されたとき、出来るだけきれいに歯髄組織を除去しなければなりません。

 

根尖(根の先端)までぎりぎりいっぱい、きれいにしたいのですが、どうしても多少は根尖の外の組織(歯根膜があり、そのまわりは骨です)を刺激します。ときおり刺激により、歯根膜が軽い炎症を起こし、術後の痛みにつながります。

 

根尖の外を刺激したくなくて、その手前で止めすぎると、感染歯髄を根尖に残してしまいます。実はその方が術後の痛みが出ないのです。

 

言い方は悪いですが、いいかげんにやった方が術後の痛みは少なく、簡単に終わります。しかし、残した歯髄が悪さをして、何年もたってから化膿性歯周炎を起こし、腫れや激痛に苦しむ確率が高くなります。

 

そうなると再治療しても成功率は7割程になるかと思います。最悪の場合は抜歯になります。

 

ですから、何パーセントかは術後の痛み、違和感が少しの間残ることはありますが、頑張って根尖まできれいにしたいのです。

 

前歯は単根で根管も太く、だいたいはまっすぐな形状ですが、大臼歯は3根(ときどき4~5根あることもあります)に枝分かれしていて、大きく湾曲していたり、かなり根管が細いときもあります。

 

極端に困難でなければ、奥歯の歯髄をきれいに除去、クリーニングするのに一時間弱あればなんとかなりますが、その根の形状によってはかなり時間がかかります。まれにはあまりに湾曲が強すぎて、殆ど完全(完全はないのですが)に治療することは不可能と言っていいこともあります。

 

術後に多少痛みが残っても、普通は一週間以内におさまりますが、まれには2~3か月咬合痛が残ることもあります。技術にもよりますが、この治療の副作用として、仕方がないところがあるのです。

 

本当に上手に根管治療を終えても、数パーセントは予後に問題が起こる、と大学で習いました。私の経験上、その通りだと感じています。

 

前にアメリカの歯科事情を書いたことがありますが、米国では専門化されていて、根管治療(歯内療法)の専門医がいて、その人たちにまかせることが出来ます。日本ではみんな自分でやるしかないので、私も若いころは講習会に行ったりずいぶん練習しました。

 

痛くならないと歯医者に来ない人が多いんですから、いやでもこの治療から始めることが多く、ある意味アメリカの専門医よりも技術が高い部分もあるかもしれません。

 

昔の日本の根の治療は、少し時代遅れな部分があって、(今は殆ど見ませんが)そういう古い治療の再治療は時々ひどく困難を極めました。アメリカではそういうケースは殆どないですから、そういう治療をする経験は得られません。その方が楽ですけれど・・・。

 

また、この治療は、昔からあまり療法の進化が見られない治療です。結局こつこつとファイルという器具で(英語でやすりと言う意味です)根管壁の感染歯髄、歯質(痛みやいろんな問題の原因ですね)をクリーニングするしかないのですから。

 

原始的といってもおかしくないくらいで、我々はたいしたことは出来ないのですね。あまりえらそうなことは言えません。

 

残念ながら私たちの力不足で、一度悪くなったものを完璧に元通りには出来ません。少しでも力になれるように日々努力はしていますが、人間の出来ることはあまり大したことではないのかもしれません。

 

なるべくあまり悪くならない内に、もよりの歯医者へ行って頂ければ・・・、とお願いしたく思います。

  カテゴリ:歯の話

新原歯科医院TOP > 院長ブログ > 根管治療の後に歯が痛む話