新原歯科医院

院長ブログ

カテゴリ: サイエンスの話

大願成就・2017七夕

七夕の夜遅く、弟から電話がありました。

 

「認可されたよ。」「そうか、おめでとう」短い会話がありました。

 

どういうことかと言いますと。

 

アメリカに住む彼が開発して20年近く治験などを続けて昨年FDA(日本の厚生省にあたる役所です)に提出した新薬申請が7月7日に承認され、新薬としてのアメリカFDAの認可を受けたのです。

 

私の弟はアメリカのUCLAと言う大学の医学部でhematology(血液内科)及びoncology(腫瘍学)の教授を務めています。その血液内科の分野でL-Glutamineが「鎌形赤血球症」(Sickle Cell Desease)という病気の症状を緩和することを発見して、それを治療に使えるように新薬としての認可を受けるために研究、治験を続けていました。

 

この病気は黒人や一部のヒスパニック等、アフリカなどのマラリアが発生する地域をオリジンとする人々の一部だけに見られる遺伝的な病気です。赤血球が鎌形に変形し、また赤血球の寿命も短くなるためにかなり辛い症状を伴います。

 

特定の遺伝子の組み合わせを持って生まれた患者のほとんどは若年のうちに亡くなります。そうでない患者も激しい痛みを伴う発作に苦しめられる症状が多発します。有効な薬はなく、またこの病気に効果のある薬は過去20年近くFDAの認可を受けるに至っていませんでした。

 

新薬の開発には莫大な資金が必要となりますが、ずっと個人で研究開発を続けるためにはかなりの苦労がありましたが(私はその苦労のごく一部を垣間見ただけですが)とうとう新薬としての承認を受けることが出来ました。

 

 

これはFDAのHPに今朝載っていたページです。中段にある「Emmaus Medical Inc」というのが新原豊博士がこの薬の為に立ち上げた製薬会社の名前です。

 

いままでの苦労が報われました。まだこれから多くの苦難も待ち受けているかもしれませんが、大きな一歩を踏み出すことが出来ました。多くの人の援助と支えに助けられたことは間違いないところで、その支援し続けてくれた方々には本当に感謝しています。

 

またその支援に報いるべく努力し続けた弟を誇りに思うとともに、これからの成功を祈ってやみません。日本人がアメリカFDAから新薬の認可を受けたことはいままでどれだけあったのか知りませんが、これは歴史的な快挙であることは間違いありません。おそらくほとんどの日本人の方々にはこのニュースが伝わることはないと思いますが、この快挙を本当にうれしく思います。

 

 

この薬が鎌形赤血球症に苦しむ患者さんたちの痛みを和らげることが出来るようになることを祈っています。そして間違いなくそれは実現するでしょう。

 

Emmaus Life SciencesのHPにもホットニュースが載りました。

 

私の家族、知人にとって素晴らしい七夕になりました。感謝の気持ちでいっぱいです。

 カテゴリ:サイエンスの話

太陽

最近陽射しの強さを感じる日が増えて来ましたね。どんどん季節は巡って行きます。

 

陽射しを受けて「熱い」、と感じるときに太陽のエネルギーの偉大さを思う事があります。あまり関心のある方はいないだろうなぁ・・・、とは思いますが、実は私は歯学部に入る前に物理学科を卒業している理系人間なのです。

 

陽射しに季節感を感じ、詩が浮かんで来る方は、文系の感性が強いんでしょうか?私はそれよりも大自然の驚異を感じます。

 

先日、昼休みに外を歩いていて陽射しが熱く感じられました。「そういえば、子供のころに勉強してて、電気スタンドを熱く感じた事があったなぁ。」なんぞと昔のことを思い出しました。

 

 こんな感じ、そのうちZ-ライトとか買ったなぁ・・・。

 

どんどんLED電球にとって代わられている白熱電球です。これ、結構熱くなったよなぁ。電球切れて、取り換えるときにうかつに触って火傷しそうになったこともありましたねぇ・・・。でもその電球から1メートルも離れると、熱さは感じなくなりました。

 

 

でも、「今歩いていて熱さを感じている太陽の光は気の遠くなるような遠い距離から宇宙を旅して来て、たった今私に熱さを感じさせているのだ・・・。」と思うと、太陽エネルギーの偉大さを思わずにはいられませんでした。

 

 

ちょっとネットで調べて見ました。太陽から地球までの平均距離は1億4960万キロメートルなんだそうです。距離感が見当もつきませんが、太陽が発した光が地球に届くのに8分19秒かかるんですね。

 

1メートルで熱さも薄れる白熱球の中のフィラメントは2000度以上ありますが、空気で冷やされた電球表面の温度は100度程度です。太陽の表面温度は約6000度と言われています。熱さだけでなく、とてつもないエネルギーが放出され、それが遠く離れた地球まで届き、私たちに陽射しの熱さを感じさせ、そして地球に大きな恵みを与えてくれているんですね。凄いよなぁ・・・。と理系人間の私は感嘆してしまうのです(笑)。

 

 

 地球は太陽に近い方から3番目です。

 

太陽系で地球のひとつ内側を廻っている金星の表面温度は平均464℃ひとつ外側の火星はマイナス56℃です。地球は太陽から丁度いい温度になるような絶妙な距離の軌道にあるんですね。

 

勿論大気の状態などいろいろな要因はあるんですが、太陽のエネルギーの強さと太陽からの距離の関係で地球には生命が誕生するための条件が揃い、素晴らしい自然の中に私たちは生かされています。

 

今年になって、地球から40光年離れたところにある太陽系外惑星系TRAPPIST-1に地球型惑星を7個発見した、と言う発見がニュースとなりました。その中の3個はハビタブルゾーン(生命存在可能なエリア)に位置しているとの事でした。

 

 

これからも広い宇宙の謎は少しづつ明らかになってくるでしょう。その中には地球のように生命が存在することが確実な星の発見もあるかもしれません。

 

きっと私たちの地球のように太陽エネルギーの恩恵を受けて緑豊かな自然のなかに生かされている生命体が存在するのかも知れませんね。

 

 

そして、このような美しい光で私たちの心を癒してくれる太陽の恩恵が与えられていることは、まさに神の恵みなのかもしれません。

 

 

ちょっとした春の陽射しの暖かさから、徒然と感じいったことを綴りました。

 

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プロキシマ・ケンタウリbと子供の頃の夢

文芸春秋11月号の「数字の科学」と言うコラムに「最も近い恒星までの距離」と言う題の文章が書かれていました。

 

それによると、今年の8月にプロキシマ・ケンタウリと言う恒星に、惑星があることが発見された事が注目されている、と書かれていました。プロキシマ・ケンタウリbと名付けられたようです。

 

その恒星は太陽から最も近いところにある恒星です。その惑星は地球から最も近いところにある太陽系外の惑星と言う事になります。

 

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purox1

 

そしてプロキシマ・ケンタウリbのサイズと気温は比較的地球に近いと見られており、つまりは多量の水が存在し、生命が誕生している可能性も期待できるという訳ですから、天文学者たちは色めき立ったという話です。

 

ではそこへ探査機を飛ばして調査することは可能だろうか?と言う話になりますが、そこまでの距離が問題になります。地球から4.25光年離れているのです。そこから出た光は4年以上かかって地球に届きます。今見えているのは4.25年前のその星の姿です。

 

太陽系外へ向かって今も飛んでいる宇宙探査機ボイジャー1号は秒速17キロメートルと言うスピードで(因みに音速の50倍の速さです)宇宙を旅しています。その速度でプロキシマ・ケンタウリに向かわせても到達に七万年以上かかることになるそうです。これではお話になりませんね。

 

boija ボイジャー1号

 

ボイジャー1号、2号は1977年に打ち上げられました。もう30年近く宇宙を旅しているのです。太陽圏外まで到達していますが、まだ太陽系を脱出してはいないそうです。ここら辺は少し難しいですね、私も勉強しないと意味が解りません(笑)が、30年飛んでも太陽系さえ抜けられないなんて・・・。これってすごい事だよなぁ・・・。(太陽系の外に出るには3万年ほどかかるそうです(驚))

 

ハッブル宇宙望遠鏡は130億光年離れた銀河まで発見しましたが、それに比べて4.25光年なんてすぐ近くのような気もしますが、そこへ行くことも今の人間の力では不可能に近い事なのですね。何という宇宙の広さでしょう?

 

そういう観測が出来るようになったのもつい最近のことです。私が子供の頃は地球以外の星に生命が存在する可能性は殆どない、と言われていたものです。地球は宇宙の奇跡の星だとさえいう科学者もいたのです。

 

私がアメリカにいた頃「コスモス」と言う(宇宙ドキュメンタリーと言うのでしょうか?)テレビ番組がありました。40年近く前の事です。

 

seigan1 seigan2 セイガン博士

 

カール・セイガン博士がナレーターを務めるこの番組は大人気でしたが、その番組の中でセイガン博士が、この広い宇宙に地球のような生命体を育む星が他にないなんて考えられないことだ・・・。と地球外生命の存在を明確に肯定していたのが、私が初めて聞いた肯定的意見でした。

 

2年前にこの番組の続編のような番組が作られ13話放送されました。今でもその「コスモス:時空と宇宙」はナショジオチャンネルで見る事が出来ます。タイソン博士と言う物理学者が司会をしています。これも面白い番組です。

 

taison ニール・タイソン博士

 

科学の発達は目覚ましいものがあります。そしてその進化、新しい発見をするたびに分からないことが増えて行くような妙な進歩です。そう、昔ニュートンたちが古典力学を完成させた時には、(殆ど)全ての事が証明出来ると考えられていたかもしれません

 

ところが年とともに、科学が発展していくにつれてわからないことが増えて行きます。知らない事、わからない事がまだまだあることを理解するようにになるのです。やっと今年になって地球から4光年強の近さの距離に太陽系外惑星が存在することを人間は知り得たのです。

 

purox2

 

私は子供の頃「鉄人28号」の漫画が大好きでした。「僕はハカセになるんだ!」と言っていたそうです。敷島博士やお茶の水博士のように、ハカセとはロボットを作る人の事をいうものと思っていた子供時代の私の夢は「ハカセになる!」だったんです(笑)。

 

tetujinn 鉄人と正太郎くんと不思議な(笑)操縦器

 

その頃漫画で見ていたことは当時は夢のような話ばかりでした。人間が月に行くことなどは夢のまた夢だったのですから。

 

多くの夢が現実となりましたが、さていつかは人間がスタートレックやスターワーズ、はたまた宇宙戦艦ヤマトのようにワープ航法で宇宙を旅する時代は来るんでしょうか?実現不可能と言われていますが、真剣に研究している科学者もいるそうです。まだ子供のころの夢見る魂は若干私の中に残っているようです。期待しています(笑)。

 

wa-pu

 

先日七星会という高校同期会がありまして、昔の理系クラスの同級生たちと話をしていて、あの頃はこんな話にも十分興味を持っていたことを思い出しました。いまでも少しはその名残がある事がなんだかちょっとうれしく感じてしまいました(笑)。

 

 

 

 

 

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ノーベル賞アゲイン

なんとなんと連日のノーベル賞受賞の嬉しいニュースですね。物理学賞の梶田隆章氏は、以前ノーベル賞をとった小柴先生のお弟子さんとのこと。実験屋さんですね。

 

理論物理学者の理論を実験で実証する、とても大事な、また難しい分野です。かかる予算も莫大なものになります。小柴さんは資金繰りに次ぐ資金繰りが仕事だったようなもんだ、と言いうような事を言っていたように思います。

 

それに加えてものすごく地道に、また正確を極めた観測をするための工夫と技術が求められる難しい分野の研究です。

 

今回受賞した梶田氏の実験結果はこれまでの物理学の「標準理論」と言うものの前提を覆す大きな発見でした。(標準理論ではニュートリノの質量がゼロであることが前提なんだそうです。)これで、また物理学者たちは新しい理論の構築をしていかなければならなくなったのです。

 

このように、科学の世界では昨日まで正しいとされてきたことが間違っていた、ということが時々おこります。そうであれば当たり前のように新しい考えを取り入れていくのです。

 

先日の大村氏が「たくさん失敗をしなさい」と言っていました。まさに失敗は成功の基!多くの失敗の上に科学は発展しつづけているのです。勿論「標準理論」は失敗ではありませんよ。その時点では最高の理論だったのです。

 

科学では、あくまでも「この時点では・・・」と言うくくりのなかで正しい考えと言うものを定義します。それは書き換えられることがあっても不思議ではなく、成長、発展の過程にあるということです。

 

人為的な、或は故意のミスでなければ、研究の成果は例え失敗であろうともその努力は評価されるべきものなんだと思います。昨年来、ある世界的に高名な科学者が自殺に追い込まれたり、若い研究者が葬り去られた事象がありましたが、少々行き過ぎた何かがあったように思えて残念でなりません。

 

それはともかく、こうなってくると、もしかして村上春樹氏の文学賞も期待出来るかもしれませんね。もう数年前から候補に挙がっている村上氏ですから・・・。

 

彼の小説は、なんというか外国の小説を日本語に訳した訳本のような文体で、それがなんとなくお洒落に感じるのかも知れません。

 

私個人的には、さほど彼の作品の良さはよくわかりません。題名の付け方に関しては、(古い楽曲や小説の題名をもじったようなものがよくありますね、)あまり好感は持てません。

 

でもまぁ、世界中の人々に評価されているんだから、いいものがあるんでしょうね?今回はなくとも時間の問題だと思われますが、ここまで来たら、三日連続の嬉しいニュースを聞けたらいいなぁ・・。

kajitaなんと私より6歳も若い!

 

梶田さん、おめでとう!

 

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ノーベル賞

嬉しいビッグニュースでした。大村智氏がノーベル生理学・医学賞を受賞しました。

 

湯川博士が日本人として初めて受賞して、暫くはなかなか頻繁に受賞者が出ることはなかったのですが、最近は増えて来ましたねぇ。

 

大村氏は大学卒業後、一時墨田工業高校の定時制の教師だったとか・・・。私の住む亀戸から程遠くない場所にありまして、なんかそれだけで好感を持ってしまいます。(ちなみに私の母校は墨田川高校で、墨田工高ではありませんが、)

 

スポーツマンの村田氏はスキーの距離競技で国体にも出た事があるとか・・。ゴルフもハンデ5の上級者なんだそうですね。

 

この受賞につながった微生物を発見したのも、伊東市川奈にある某ゴルフ場の土を採取したところから抽出したものだそうです。(川奈と言えばあのゴルフ場でしょうね。)

 

昨日のテレビのニュースの中に英語でスピーチしている画面がありました。いくつもの賞を海外で取られているそうで、恐らくはそのひとつの受賞時のものでしょうか?

 

そのスピーチでは、「この薬の開発につながる微生物はあるゴルフ場の土から発見しました。昔、マリリン・モンローとジョー・ディマジオが新婚旅行で日本を訪れたときに立ち寄ったゴルフ場として有名です。これからはこの微生物が見つかったゴルフ場と言われるようになりましょうか(笑)」と話しておられました。

 

なんとまぁ、お洒落なスピーチではありませんか?お堅い学者さんのイメージはありませんね。きっとこういう方々が本当のいい研究をなさる学者なんでしょうか?

 

しかし、このニュースを聞くまで(私も含めて)日本人のほとんどの方はこの村田先生の素晴らしい業績を知る由もありませんでした。マスコミの方々にはもう少し頑張って欲しいかな・・・?つまらない記事を少し減らしまして、こういう記事も・・・。

大村氏

 

おめでとうございます!!

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ノーベル賞

日本人がノーベル物理学賞を取りましたね。おめでとうございます。

 

私も物理学科を出ておりますから、感じるものがあります。ノーベル賞、とりたかったなぁ・・・。なんてね(笑)。

 

湯川先生のあと、朝永先生が受賞され、徐々に受賞者が増えて来ました。理系の賞が多かったですが、最近は多分野にわたり、かつ頻繁に受賞されるようになりましたね。

 

きっと村上さんも近い将来、文学賞をとるのでしょう。

 

昔から思っていましたが、元々ノーベル氏がダイナマイトを発明して築いた財産で財団を作り、賞金を出すようになった訳ですが、その資産を運用して殆どの費用を賄っていると言うことは、いったいどれだけの遺産をノーベル氏は残したんでしょうね?

 

まぁ、私たち庶民には想像もつかないような金額なんだろうなぁ…。すごいものです、ダイナマイトの威力は。

 

それとは関係なく、物理学科を卒業してから歯医者になった私は、いつか趣味でまた物理を勉強してみたいと言う夢があったのですが、日々のことに追われ、全くその余裕なく今日に至っています。

 

もはや、三角関数も、因数分解も解らなくなってしまった今、夢は遠いかなたに霞んでいます。でもその夢を忘れずにいたい、と時折思い起こします。こうしてノーベル賞が話題になったりすると、彼方に行ってしまった夢が胸をよぎるのです。ノーベル賞、とりたかったなぁ・・・。(ふふふ)

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夕日を見て

“We humans all have varied reactions to the world. The artist in us will admire a sunset and wish we could communicate its beauty in a painting. The poet in us will try to find words—–phisicist is curious as to how far away the sun is—–”

“Principles of Phisics”–by  Bueche and Jerde、 からの引用

 

これは私が大学時代に使った物理のクラスの教科書の序文のはじめの部分です。(私は物理学を専攻して4年生大学を卒業し、歯科大に入りました。アメリカでは医、歯、法学部にはいわゆる4大を卒業してから入るのが一般的なコースです。)物理とはなんぞや?と言うことを解りやすく書いてありました。

 

「人は皆それぞれ違った感性を持っていて、例えば沈みゆく美しい夕日を見た時に、我々の中の芸術家の部分は、この美しさを絵で表せたら・・・、と思うでしょう。詩人は言葉で・・・、そして私たちの中の物理学者の部分は、この太陽はいったい地球からどれほどの距離にあって、どんな温度で・・・、なぜこのような色に見えるのか・・・?と好奇心にかられるのです・・・」

 

と言ったようなことが書かれています。

 

みな、夕日の美しさを感じるところから始まります。そしてそれぞれの感性の違いによって違った味わい方をするのかも知れません。

 

物理がロマンチックだと言うと、おかしな考えだと思われるかもしれません。私は数学や物理がずっと好きで、あまりレベルは高くないのですが、いろいろな数式を見て、またその証明の過程のリズム感であったり、それが作られていく過程などもとても美しく、ロマンチックにさえ感じることがありました。

 

夕日の美しさからなにが思い起こされるのか?ある人は絵画を、また詩を、哲学を・・・、そして物理を、思い起こします。物理学者はいろいろな事象に興味を持ち、質問が浮かび、答を知りたい思う人たちなのでしょう。

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美しいものを見た時、皆それぞれの感性でその美しさを鑑賞します。それが全く違った方向であろうと、その美しさを一緒に共感しているのですね。それは芸術的な方向であったり、物理であったり・・・。同時に同じ美しい夕日を見ながら・・・、なんとロマンチックなことではありませんか?

 

この夕日を見て、皆さんは何を感じるのでしょう・・・?

 

 

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医療の質と医療費

8月27日の日経新聞に、「医師の質を高める」と言う見出しがありました。この週は1面で医療に関してのコラムを連載しているようです。

 

東京のある病院では、「クオリティー・インディケーター」と言う指標を作り、それを元に勤務医の治療の質の改善に取り組んでいるそうです。

 

「固定観念や勉強不足、根拠に基づかない医療は今も多い。反発もあったが確実に改善が進んだ。」と書いてありました。

 

「勉強不足」、「根拠に基づかない医療」、私も港区でやっていた時には、何人かの勤務医を雇っていましたから、同じことで苦労しました。教えても素直に受け止めてくれない歯科医師もいましたし、すべてに目が届く訳でもなく、難しかったです。

 

医療もサイエンスの中に入るのだと思います。いろいろな研究、経験を積み重ねて、医療のマニュアルが出来ています。根拠に基づいて診断し、マニュアルに沿って治療方針を考えて行きます。

 

何の根拠もないのに、なんとなくこれでいいんじゃないかな?なんて治療はありえません。遊びじゃないのですから。

 

どこの国でもあることなのでしょうが、医大、歯科大を卒業してからの訓練と経験によって臨床医として成長して行きます。育てるには時間と根気がいるようです。日本では専門医制度も確立しているとは言い難い状況です。医療の質を高めるにはまだ課題が多く残っているようです。

 

同日の2面に、医療費の増加についても記事が載っていました。高齢者の増加、先端技術の発達等、医療費の増加を促すファクターが多々あります。これからの保健制度は予算の確保に難しい選択を迫られています。

 

ただ、ここでは先進国の医療費のGDP比を比べていて、あたかも日本の医療費が高額であるかのように思わせる記述がみえます。

 

同じページで一人当たりの医療費について書いてありますが、それは何故か国内の比較だけ載せてあります。他の先進諸国との、同じ治療を行った時の医療単価の比較には触れていません。

 

歯科同様に、医科でも日本の治療単価は欧米諸国に比べると驚くほど安いことを書いてくれてもいいのになぁ・・・。ネットで見ればすぐにわかりますが、大きな差があります。それによって日本の国民がどれだけ健康を享受できているのか知っている筈なのに・・・。

 

日本の医療人は他の国々よりも遥かに低い医療費(おそらく1/5~1/3)の中で、少しでも医療の質を上げて患者さんの幸せのために努力しているという事は、是非知っておいて頂きたいと思うのです。

 

 

 

 

 カテゴリ:サイエンスの話

時間よ止まれ

8月も最後の週になります。時間は容赦なく流れて行きますね。

 

6か月、あるいは3か月に一度、必ず検診に来て下さる患者さんたちがたくさんいらっしゃいます。ついこの間お会いしたかと思ったら、「6か月立つのが早いですねぇ・・・。」こんなご挨拶になることが多々あります。

 

高校生のときに(だと思いますが)読んだ小説を思い出しました。時間を止める、と言うわけではないのですが、沈んでいく夕日を止める・・・、と言う話です。題名は覚えていません。

 

HG・ウエルズだったか、コナン・ドイルだったか・・・。さほどの読書家ではない私ですから、読んだことのある作家は限られています。ブラッドベリーでないことは確かです。SFならおそらくこの2人のどちらかですが、覚えていません。

 

その短編小説の詳しい内容も全く覚えていません。なにしろ40年以上前の記憶です。主人公が願い事を叶えてもらうと言う話なんですが、一つだったか、三つだったか・・・?

 

40年前に読んで、殆ど覚えていない詳細のなか、一つだけいまだに鮮明に記憶に残っているのはその願い事が成就した結果なにが起こったのかと言うことです。「彼は沈みゆく夕日を止めて下さい。」と願ったのです。

 

彼の目の前で夕日が止まった瞬間、彼は空中を漂っていました。周りにいろんなものが流れています。そしてすぐに意識は途切れました。

 

太陽は朝、東から昇り、夕方に西に沈みます。これは実は太陽が地球の周りを回っているからではなく、地球が自転しているからだと言う事は、みなさんご存じのことです。

 

夕日が沈むのを止める、と言う事は、地球の自転を止めることになるわけです。

 

地球の円周は4万キロ、それが一日で一周しますから、赤道上では地表は時速約1700キロ近くで動いていることになります。なんと音速より速いんですね。

 

その自転を止めれば、慣性の法則により、地表の物質はすべて時速1700キロの速度で飛ばされることになるのです。(日本の緯度あたりだと、その半分くらいのスピードでしょうか?)電車が急ブレーキをかけたときと同じです。ただスピードが半端じゃありません。

 

彼の願いを叶える事で人類を滅亡させてしまったのです。

 

極点ではどうか?とか、自転を地球のどの部位で止めるのか?とか、細かい事を言うと終わらなくなってしまいます。単純にストーリーを楽しめばいいと思います。

 

理系の私にとって、この結末がとてもロマンチック(おかしく聞こえるかもしれませんが・・・)だったんですね。物理学のロマンです。ストーリーの詳細は全く覚えていないのですが、この結末だけ記憶にしっかり残っているのです。

 

ちなみに地球の公転速度(太陽の周りを回る速さ)は時速約10万キロ(自転速度の約60倍です)だそうですよ。私たちはたった今、時間の流れと共に(太陽を中心とした相対的な関係ですが)時速10万キロのスピードで宇宙を旅しているのです。なんとロマンチックな事ではありませんか?

 

物理、数学に興味のない方には全くピンとこない話かも知れませんね。ただひとつだけ聞いて頂きたいのですが、もしもどなたかが、アラジンの魔法のランプを手に入れたとしたら・・・・。

 

願い事を言う前に、必ず物理学者にご相談頂きたいのです。願いが叶った時に何が起こるかわかりませんから・・・。

 

 

 

 

 カテゴリ:サイエンスの話, 未分類

畑違い

ずいぶん前の話ですが、堺屋太一さんが閣僚(経済企画庁長官だったでしょうか)だった時、日本の米の関税率について、(500%くらいだったかなぁ?)こんな非常識な事をしていは世界中の笑いものになる・・・と言った発言をしました。

 

私も、「そうだよなぁ・・・、」と思ったのですが、当時の農水省大臣の故中川昭一大臣は「ど素人に言われたくない!」と反論しました。

 

堺屋さんはすぐに謝罪しました。元通産官僚であり、高名な作家、評論家であった彼でさえ畑違いの事には知識が不足していたのですね。農業の世界では(農業に限りませんが)自国の産業を守るための聖域には数百%の関税をかけることは常識であることが一般には知られていなかったのです。

 

いまだにSTAP細胞に関して、バラエティー番組のような取り上げ方が続いています。私も生物学、遺伝子学にはど素人ですからなにも言える立場ではありませんが、わたしの高校同期の友人で似たような研究に関係している友人から教えてもらった事があります。

 

遺伝子の映像を紹介するときに見やすいように中を切って切り貼りする事はみんなやっていて、それが結果を変えることもなく、容認されている当たり前の事なんだそうです。

 

私は歯科大に入る前に物理学科を出ていますが、畑違いのことには無知です。専門の事でさえ基本的なことを越えたら素人同然です。ノーベル化学賞をとった方でもきっとそういうことの知識は乏しいのではないでしょうか?

 

その分野の専門家のコメントよりも一般の評論家や、専門外の科学者、またなぜか精神科医の意見までが出されたりしています。

 

IPS細胞の研究で名をはせた中山教授も「STAB細胞でなくとも、何かあるのではないか?」とコメントしていました。また彼は「30歳では研究者として才能があっても、まだ未熟な面もあり、そこを指導し、またそういった若い研究者を守らなければいけない」とコメントしましたが、「未熟」と言う単語だけが使われ、「中山教授がこの研究者の未熟さを批判」と言った表現に歪曲されて報道されています。

 

これでは中山教授もかわいそうですよね。彼の意図とはまるで違った言葉が広がって行きます。私たちのような、ど素人の一般人が誤解しないような報道を期待したいものです。研究者の倫理を語るなら、報道機関の倫理も求めたいではありませんか?

 

もしもSTAP細胞が再現できなくとも、新しい可能性にチャレンジすることが科学、人類の発展に繋がると言うことは過去の歴史から明らかなことなのです。また、捏造と決め込んでいらしゃる方々、もし再現に成功したらもう一度、コロッと手のひらを反すのでしょうか?

 

もうこれ以上この事にコメントしたくありません。なんで日本のネットワークがこぞって特番で完全中継してるんだか・・・・?何を期待しているのだか・・・?

 

アインシュタインの名言があります。「常識とは、人間が18歳までに身に付けた偏見のコレクションである。」

 カテゴリ:サイエンスの話

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