新原歯科医院

根本先生のブログ

カテゴリ: 歯の諸々

フッ素

1)歯科医院で「フッ素」を塗りましょう言われるけど、「フッ素」ってなんですか?

フッ素は自然界に沢山ある元素の一つで、海藻や野菜などの食品の中にも含まれています。

これを一定の濃度で使うと虫歯予防にとても効果的です

 

 

2)「フッ素」はどのような効能があるのですか?

酸などで溶け出した歯の表面の石灰分などをもう一度歯につけ戻す作用、いわゆる再石灰化の作用があります。

しかも歯の表面を硬くして酸に溶けにくくしてくれます。

虫歯菌が作り出す酸によって歯が溶かされるのが虫歯ですが、フッ素は虫歯菌の働きを弱めて酸を作る能力を抑える作用もあります。

 

 

3)フッ素は毒だって聞いたことがあるのですが?

確かにフッ素には毒性があるので大量に摂取すればとても危険です。

大量に摂取すると歯に斑点が出たり、歯の色が灰色になってしまうことも分かっています。

しかし歯科医院で使用したり歯磨き剤に添加されている量は緻密に計算された安全な量しか使われていないので、毒性を心配する必要はないと考えられています。

例えば日本ではフッ素を子供達に使用してから虫歯が減ったという調査結果があり、虫歯予防にも有効だということはわかっています。

 

 

4)フッ素入りの歯磨き剤の有効な使い方はありますか?

フッ素は歯に作用するの一定時間、歯の表面にとどまっている必要があります。

それなのでフッ素入り歯磨き剤でよく歯を磨いた後に口にたまった泡などを吐き出すだけにしましょう。 

もし口をすすぐにしてもなるべく少量の水ですすぐようにし、30分ぐらいそのままにし、それから口をすすぐと効果的です。

 カテゴリ:歯の諸々

食後すぐの歯磨きは危険(?)って本当?

最近「食後すぐの歯磨きは歯に悪いから、少なくとも食後30分以上経ってから歯磨きをした方が良い。」というのを耳にしたと思いますが、以前は「食べたらすぐに磨け!」と言われていたのにどうなの? という質問をよく受けるので少し解説してみます。

 

「食後すぐ磨いてはダメ」という理由の多くは「食後、口内は酸性になり、歯のエナメル質が酸でやわらかくなるので、そこでブラッシングすると、歯の表面を傷つけてしまう。」からというものです。

 

ところで話を戻します。 「食後すぐの歯磨きはダメ」という情報な元になっている実験があります。  それは酸性の強い炭酸飲料に歯の「象牙質」を90秒間浸した後に口の中に戻し、時間を置いてから歯を磨くというように、歯磨きの開始時間によって歯の象牙質に酸がどれくらい浸透するかを見る実験です。

 

実験で「歯の象牙質」を酸に浸していますが、人の歯の構造は、まず歯の一番表側に人体で一番硬い組織「エナメル」が覆っていて、その内側が「象牙質」という骨と似た組織になっていて、「象牙質」を歯ブラシで直接磨くということはありません。

 

それなので象牙質を用いた実験結果をすぐに日常の歯磨きに結びつけることは無理があります。

 

さらに実験では酸性の炭酸飲料水を用いていますが、これも普通の食事に置き換えて結論とするのも正確ではありません。

 

この実験は「酸蝕症」という、いわゆる「酸性」の強い物、例えばスポーツドリンク、柑橘類、お酢などを多く摂ることによる歯への影響を見る実験で、「虫歯」の実験ではありません。 

 

この結論で食後すぐの歯磨きはダメというのは早計すぎます。

 

もちろんお米を食べても口の中はある程度 酸性にはなりますが、唾液が十分に出ていれば酸は中和されます。  それよりも口の中が汚れた状態を続けることの方が問題になるので食後30分後などと気を使いすぎるよりも、いつも清潔を心がけるのが正解です。

 

「日本小児歯科学会」も「通常の食事の時は早めに歯みがきをして歯垢とその中の細菌を取り除いて脱灰を防ぐことの方が重要です。」と勧めています。

 

「ライオン歯科衛生研究所」も次のよう推奨しています。

「酸性の食べ物や飲み物を摂ったら、すぐにお水でうが いするなど、お口の酸性度を緩和するようにしましょう。  むし歯予防のためには、「食べたらみがく」、食事のあ とすぐに歯みがきする、といういつもの方法がおすすめです。」

 

しかし次のような場合は注意が必要です。

 *炭酸飲料を頻繁に飲む。 

 *間食をする。

 *柑橘類を頻繁に食べる。 

             など・・・・

このような場合は口の中が長時間、酸性の状態になるので、歯がボロボロになりやすくなります。

また特別な場合もあります。

例えば嘔吐を繰り返してしまう場合です。

胃酸はとても酸性度が強く、しかも嘔吐物が歯の表面に留まりやすいので、歯をボロボロにしてしまいます。

本当は嘔吐したらすぐに口を「重曹」でうがいするぐらいが必要ですが、せめて水で嘔吐物を洗い流すなどをした方が良いでしょう。

 カテゴリ:歯の諸々

口腔ケアからのインフルエンザ対策

(質問)インフルエンザが流行しています。 予防に口腔ケアが有効だと聞いたのですが 本当ですか?

(答)ある調査では高齢者施設で口腔ケアをしっかりと行った結果インフルエンザ発生が 10分の1になったという結果が出ています
またある学校では生徒の口腔ケアを行った結果、周囲の学校よりもインフルエンザ発生率が下がったという報告もあります。
このように口腔ケアはインフルエンザ対策に有効だと言えると思います。

(質問)口の中とインフルエンザの関係を説明してください?

(答)まず口腔内の細菌とインフルエンザ・ウィルスの関係を説明しましょう。
口腔内には細菌が何億もいますがその細菌によって作り出される酵素があります。
その酵素はインフルエンザのウィルスを粘膜に侵入しやすくしてしまうので、口腔内が汚れていればいるほど 沢山のウィルスが体内に侵入してしまいます。

さらに、口腔内の細菌が作り出す別の酵素は、タミフルなどのインフルエンザの治療薬の働きを妨害することが
わかっています。 ですのでせっかくタミフルなどの治療薬を服用しても口腔ケアをしないままでいると、薬の
効能を抑えてしまい、インフルエンザの治りにも影響してしまうのです。

(質問)それではどうすれば良いですか?

(答)簡単です。 「丁寧に口の中をキレイにする!」です。 いくつかのポイトをあげて見ます。まず、以前はインフルエンザ予防に「マスク」「手洗い」「うがい」があげられていましたが、今では厚生省の予防対策に「うがい」は入っていません。
口に入ってきたウイルスを「うがい」で流してしまうのですが、呼吸しているとひっきりなしに種々の細菌が口に入って来るので、1日に数回「うがい」しても間に合わないのです。

ある調査では「うがい」は「風邪」の予防には有効であり、インフルエンザにはそれほど、という報告があります。 ですのでやらないよりはやった方が良い程度に考えれば良いのでしょう。

口腔ケアで有効なのは「歯磨き」と「舌」の掃除です。まず歯磨きは特に寝る前に丁寧しましょう。口腔内の細菌は夜に増殖しやすいので、寝る前によく磨いて細菌を減らしておくのが有効です。 その意味では、朝食前にも磨きましょう。 夜に増えた菌を食事前に流してしまうのも一定の効果があると考えられます。
次に「舌」ですが、「舌」の表面に細菌が付着するので、歯ブラシで軽く掃除するか、指にガーゼを巻いて舌の表面をなぞってキレイにするのも効果的です。

最後に:インフルエンザの予防に口腔ケアだけが有効なわけではありません。 ゆっくり休んで体調を整える、暴飲暴食をしないなども大切ですが、口腔ケアはそれらの中の有効な対策の一つだということを覚えておいてください。

最後にもう一つ:手洗いする前の手で顔を触らないことも有効な対策です。
汚れた手で目をこすったり、鼻を触ると、手についた細菌を目や鼻の粘膜になすりつけることになるので、気をつけてください。

 カテゴリ:歯の諸々

「もう一度、リンゴを食べたい!」

米国での開業を切り上げて日本のとある病院歯科に勤務して間もない頃のこと、病棟から一本の電話が入った。

看護師からの電話で、入院中の患者さんが『もう一度、リンゴを食べたい!』と希望しているというものだった。

予約状況を調べると返事すると、電話の向こうで「実はこの患者さんは余命が長くて二週間と診断されている。 なるべく早くしてほしい。」ということだった。

私は何ができるかを調べるために直ぐに病棟に向かうと、病室には四十代の女性患者が微笑んで待っておられ、その横にはまだ十代の娘さんが不安げに付き添っていた。

その光景を目にして即座になんとかしようと決め、娘さんにお母さんを車椅子に乗せて歯科に連れてくるように頼んだ。

歯科に戻ると直ぐに技工所に電話をし、事情を説明して金属の被せ物を早急に作製してもらうように依頼した。 通常、このような被せ物の作製に一週間ほどかかるのだが、技工所からは一晩で仕上げます、との返事をもらった。

しばらくすると娘さんが押す車椅子に乗ってご本人が来られた。

早速、歯を削って歯型を取り、仮歯をつけてから、明日には被せ物が入るのでお出でください、と案内すると嬉しそうに頷いていた。

翌日、やはり娘さんに連れられてご本人が来られ、無事に被せ物を装着した。

治療が終わり支払いをしようとされたので無料ですと伝えると驚いた表情を浮かべていたが、微笑まれながら歯科を後にしていった。

実は、技工所からの請求書が「0円」となっていたのだ。

その後、どうしているのか気になったが病室に訪ねるのは遠慮した。

それから数週間経った頃だろう...

あの患者さんのご家族だという方が会いに来られた。

「実は、被せ物を作ってもらってから一週間ほどで眠りについた。 でも最後にリンゴを本当に美味しそうに食べていた。 人生最後の小さな希望を叶えてくれて感謝している。」と涙された。

この出来事から私の歯科治療への考え方が変わったように思う。

それまではある意味、機械的な治療だった。

虫歯があればそれを取り除いて補修する・・・今でも治療方法はそれほど変わらないだろう。しかしあれ以降、治療の向こうに患者さんの人生、日々の生活があることを強く意識するようになった。

同じ虫歯治療でもA案、B案 C案と複数の治療計画をたて、それぞれの治療が与える影響を可能な限り想定してみる。

患者さんにもそれを提示し、一番合っていると思う治療計画を選んでもらうようにしている。

被せ物の高さが1/10ミリ狂うだけで食事がうまくできなくなり、多大なストレスを与えることだってある。

たかが虫歯の治療かもしれないが、それが喜びにも苦痛にもなることを肝に銘じながら歯科医療を究めつづけたい。

 カテゴリ:歯の諸々

新原歯科医院TOP > 根本先生のブログ