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サリンジャー、ディンギーで(小船のほとり)

私が高校生の時にサリンジャーの「九つの物語」を読みました。内容は殆どおぼえていません。一つだけ、やけに印象に残ったのは、「ディンギーで」(今は、小船のほとり、と言うらしいですね。)と言う短編で、まったく意味が理解出来なかったところがあったという事です。

 

このことを書こうと思い、立ち読みしたり、ネットで調べてみたら、その前、その後で何人もの人の訳本があるんですね。知りませんでした。

 

私が覚えているのは、小さな子供が、ある人たちが自分の父親のことをタコだ、と陰口を言っているのを聞いてしまい、ショックを受けた。お母さんと話していて、「僕は凧になって空に飛んで行ってしまうの?」

 

よく覚えてないんですが、かなり原文と違うかも知れませんが、そんな感じだったと思います。前後の文章をよく読んでも全く意味がわかりませんでした。

 

その後、アメリカで大学に入り、多少ヴォキャブラリーが増え、「Kike」と「Kite」を聞き違えたのだと理解出来ました。

 

Kikeは「ユダヤ野郎!」みたいにユダヤ人を軽蔑した言葉です。Kiteは凧のことです。小さな子供だから、まだ語彙が多くないんですね。こんな悪いスラングを知るようになるまでには少しまだ早い年齢です。子供でも凧は知っています。

 

なんで凧って言ってるのかわからないけど、口ぶりから、悪口を言っているらしいことは感じたのですね。それでとても悲しくなって小舟に引きこもってしまったわけです。

 

これは訳すの難しいですよね。ネットで見たらこのことを書いている人が結構いました。サリンジャーを好きな方たちには当たり前の話なのかも知れません。

 

そして、今本屋さんで売っている本は私が読んだものより少し後の物のようです。古い文庫本はすぐ絶版になりますから、なかなか見つからないのかなぁ。

 

先日本屋さんで立ち読みしたのは、野崎さんと言う人の訳ですが、タコを「ユダ公」、「ユダコ」と言う単語を使っています。その前後の文によって、凧とユダ公を勘違いしている事がわかるように(かなり苦しいですけれど)なっています。

 

でも、やはり英語のニュアンスは伝えられていないかなぁ。いやぁ・・、翻訳家さんたちの仕事って大変ですね。ある意味アートだと思います。逆に日本の、夏目漱石の草枕の「智に働けば角が立つ。情に掉させば流される。意地を通せば窮屈だ。兎角人の世は住みにくい。」なんて、英語にするの大変だろうなぁ。

 

漱石の本ならきっと英訳されているんでしょうけれど、いったいどう訳しているんでしょうね。漱石の言葉の美しい、ちょっと小じゃれな流れを伝えるの難しかったでしょうね。歌を訳詩する場合は、多少意味が変わっても許されるところがありますが、小説はそうは行きませんものね。いやいや、大変だ。

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